要約:米騒動で利益急増、木徳神糧が最高益を更新
2024年から2025年にかけて起きた「令和のコメ騒動」により、コメ卸最大手の木徳神糧(きとくしんりょう)は過去最高益を記録しました。記録的猛暑による不作、インバウンド需要の増加、買い占め行動の加速が重なり、全国的に米不足と価格高騰が発生。その影響で、木徳神糧の業績は大幅に伸長しました。
令和のコメ騒動とは?|背景と原因を解説
異常気象による米の不作
2023年は記録的猛暑に見舞われ、全国的に米の収穫量が大幅に減少。さらに、精米歩留まりも悪化し、供給量の不足が顕著となりました。
インバウンドと買いだめ需要の急増
訪日外国人観光客の増加に伴い、外食産業などで米需要が急伸。同時に、家庭での備蓄需要や買い急ぎも発生し、2024年夏以降には深刻なコメ不足が発生しました。
政府の対応が後手に
備蓄米の放出は十分とは言えず、卸売価格は急騰。市場は混乱し、価格は高騰を続けました。
木徳神糧の業績が急拡大した理由
過去最高の利益予想へ上方修正
2025年12月期の連結純利益予想は18億円 → 28億円に上方修正。 売上高も100億円増の1,650億円と見込まれ、いずれも過去最高を更新へ。
営業利益・純利益ともに急増
2025年1~3月期の営業利益は前年同期比4.5倍の18.5億円。 同期の純利益は3.8倍の12.9億円と急成長を遂げました。
米穀部門が業績を牽引
木徳神糧の主力事業である米穀卸売部門が大きく成長。米価格の上昇を受けて、販売価格への転嫁を適切に実施したことで、利益率が大幅に改善しました。
数字が示す「美味しい思い」の実態
経常利益の上方修正と利益率の向上
2025年12月期の経常利益は26億円 → 41億円に上方修正(+57.7%)。 売上営業利益率は前年同期の1.4% → 5.0%へと大幅に改善。
利幅の拡大と交渉力の強化
原材料価格の上昇に対して、木徳神糧は取引先との価格交渉力を発揮し、適時に価格転嫁を実施。特売も減少傾向にあり、卸としての利益率も向上しました。
社会貢献と企業イメージの強化
木徳神糧は、こども食堂への支援をはじめとする社会貢献活動も展開。急成長する中でも**CSR(企業の社会的責任)**に取り組み、企業イメージの向上にも貢献しています。
一方で、消費者負担増加と大手卸業者の利益拡大には業界構造や政策への批判もあり、今後の対応が注目されます。
まとめ:米騒動の混乱の中、木徳神糧は勝ち組に
「令和のコメ騒動」は、農政・流通・気候の問題が複雑に絡んだ社会的事件でした。しかしその渦中、木徳神糧は安定供給力と価格転嫁力を武器に業績を大幅に拡大し、“美味しい思い”を数字で示す結果となりました。
今後も米市場の動向と、木徳神糧の戦略的経営判断から目が離せません。
一方、農家が儲かる仕組みがない日本の将来は心配です。