加工わさび市場は、ここ数年で大きな変化を遂げています。
とくにコロナ禍からの経済回復や訪日外国人(インバウンド)の増加が追い風となり、主に首都圏を中心に安定した成長トレンドを描いているのが現状です。
実際、家庭用加工わさびの販売動向を見ると、2024年には金額ベースで前年比約5%アップと好調な推移を示しています。
数量ベースでも前年を上回っており、再び家庭でのわさび需要が戻ってきているのがわかります。
さらに注目すべきは、以下のような高価格帯・大容量タイプのわさび商品です。
商品カテゴリ
特徴
売上傾向
高価格帯わさび
無添加・国産原料使用など
上昇中
大容量わさび
業務用・家庭のストック用に人気
安定成長
このように、消費者の品質志向や「まとめ買い」ニーズにマッチした商品が好調なのもポイントですね。
また、業務用市場においても、国内の外食産業の回復や、海外へのわさび製品の輸出が伸びており、特にわさびソースやわさびペーストといった加工品が海外でも人気を集めています。
なぜ今、海外でわさびが注目されているのかというと、理由は以下の通りです。
世界的な日本食ブーム 寿司や和食に対する関心の高まり 加工技術の進歩で長期保存や輸送が可能に
この流れに乗って、日本の加工わさびメーカー各社は、国内外の市場でのシェア拡大に本腰を入れているんです。
若者の「わさび離れ」が進行中?|その理由と今後の影響
一方で、わさび市場において気になる現象が「若者のわさび離れ」です。
近年、回転寿司チェーンやコンビニ寿司では「サビ抜き」が標準仕様となっており、特に10代・20代の若年層でわさびを避ける傾向が強くなってきています。
あるアンケート調査では、次のようなデータが出ています。
世代
わさびが苦手と答えた割合
高校生(特に女子) 約72%
高齢者 約35%
この違い、かなり大きいですよね。
理由として挙げられているのは、
「鼻にツーンとくる辛さが苦手」 わさびの辛さ(アリルイソチオシアネート)に慣れていない 唐辛子系の辛さ(カプサイシン)は好きでも、わさびは無理!
といった意見が多いんです。
さらに、「わさびを使う料理=寿司・刺身・そばくらい」と限られていることも、若者がわさびに触れる機会が少ない原因になっています。
実際の家庭では、親が「辛いから入れないで」と言ったり、子どもの好みに合わせてわさび抜きメニューにすることが増えています。
その結果、若年層は「そもそもわさびを食べた経験が少ない」という構造的な問題が起きているわけです。
日本の食文化と「わさび」の立ち位置|変化と可能性
「サビ抜き」がスタンダードになった背景には、企業の戦略も影響しています。
家族連れへの配慮 クレーム対策 訪日外国人の味覚対応(辛さが苦手な文化圏も多い)
といった事情があり、「誰でも食べやすい寿司=サビ抜き」が広まってきたのです。
これにより、わさび=大人の味というイメージは薄れつつあります。
でも、ちょっと待ってください!
実はわさびって、魚の臭みを消したり、抗菌作用があるなど、寿司に欠かせない重要な存在なんです。
わさびの機能
内容
抗菌作用
魚の鮮度保持・食中毒予防
味の引き立て
魚の旨味や香りを引き立てる
消臭効果
生魚特有のにおいをやわらげる
ただ、最近は冷蔵・冷凍技術の進化や衛生管理の強化で、必ずしも「わさびが必需品」ではなくなっています。
それでも、高級寿司店や海外の日本料理店では、わさびの品質や香りを重視する傾向が続いているんですよ。
そんな中、わさびメーカーは新たな可能性に挑戦しています!
わさびドレッシング わさびポテチやスナック わさびを使ったスイーツやクラフトビール わさび体験型イベントや観光とのコラボ
など、新しいスタイルで若者層へのアプローチが進んでいます。
【まとめ】わさび市場の未来は?離れてもまた戻る可能性に期待!
加工わさび業界の現状と今後のトレンドをまとめると、以下のようになります。
加工わさび市場は、インバウンド需要と高価格商品の人気で安定成長中 若者のわさび離れは、辛さの苦手意識や家庭での経験値の低さが影響 「サビ抜き」が一般化しつつも、本来の文化的価値は健在 スナック・ドレッシングなど新しい食べ方でわさびの再評価が進行中
今後は、「食文化としてのわさび」をどう継承し、新しい形で楽しむかがキーポイントになりますね。