コメ価格の高騰が農業現場に深刻な打撃を与えている
ここ数年、日本国内でコメ価格の高騰が続いています。
特に2024年には、スーパーでの**5kgあたりの平均価格が4285円(税込)**と過去最高値を記録しました。
この高騰が、私たち消費者の家計だけでなく、農家や米関連の中小企業に深刻な影響を及ぼしています。
実際、2023年のデータによると、コメ農家の倒産・休廃業・解散件数は89件と、史上最多を更新。
以下の表で、近年の傾向をまとめてみました。
年度
コメ関連企業の倒産・廃業件数
備考
2020年
51件
コロナ禍による需要変動
2021年
63件
輸送コスト増などの影響
2022年
75件
肥料・燃料の価格高騰
2023年
89件
コメ価格高騰と備蓄米政策の影響
農林水産省の調査では、全国の農家のうち約95%が赤字経営に陥っているという驚きの数字も。
特に小規模・中規模の農家は、収支が合わず、後継者不足や高齢化と相まって廃業リスクが急上昇しています。
小泉進次郎農水相が打ち出した「備蓄米放出」政策の中身とは?
こうした状況を受け、2025年に就任した小泉進次郎農水相が新たに打ち出したのが「備蓄米放出政策」です。
その柱となるのが以下の2点:
政府備蓄米を無制限に市場へ放出する方針 入札方式から随意契約への移行
この施策により、政府は5kgあたり2000円前後の価格で大手小売業者へ米を提供。
これにより、イオンやドン・キホーテといった店舗では、**5kg1980円(税抜)**という破格での販売がすでにスタートしています。
📉この動きは、一般消費者にとっては**「安くて嬉しい」**と歓迎されていますが、
その裏で、中小米穀業者や農家にとっては死活問題となっているのが現実です。
「カヤの外」の中小業者と進む業界再編
小泉進次郎氏のコメ政策による影響は、単なる価格操作にとどまりません。
備蓄米放出の流通先が大手企業に集中することで、
多くの中小米穀業者は「政策の蚊帳の外」に置かれています。
さらに、コメの供給体制にも問題があります。
田んぼの整備や増産体制の構築には数年単位の準備期間が必要。
一方で、需要はすぐに変化してしまうため、短期的にコメを増やすことが難しいんです。
農家からはこんな声も…。
「今さら増産と言われても、人手も土地も資金も足りない」
「価格が下がったら、今の収穫分も赤字になる…」
つまり、備蓄米の放出がコメ価格を押し下げ、さらに農家を追い詰めるという、
悪循環が生まれているというわけです。
大規模農家への集約と地域農業の多様性崩壊
さらに見逃せないのが、農業構造の再編です。
2024年の統計では、
全農家のわずか3%にあたる大規模農家が、日本のコメの約38%を生産しているという結果に。
農家規模
全体比率
生産割合
大規模農家
約3%
約38%
中小・零細農家
約97%
約62%
政府の政策が大規模化を後押しする一方で、
中小農家や地元の卸業者が市場から排除される構図が進行中。
その結果、地域ごとの特色ある農業の多様性が失われるリスクが高まっているのです。
まとめ:コメ業界の「二極化」が進行中、対策は待ったなし
ここまでのポイントをまとめます👇
「備蓄米 放出」政策により、コメの市場価格は一部で下落し、消費者に恩恵が出ている 一方で「小泉進次郎 コメ政策」は、中小農家や卸業者の経営を圧迫し、**「コメ価格 廃業」**という現象を加速させている 農業の大規模化と業界再編が進む中、地域農業の存続や多様性の維持が深刻な課題に 今後は、流通経路の透明化・価格の安定化だけでなく、中小業者の保護や補助制度の再構築が必要