偽旧1万円札輸入事件で無罪判決!熊本地裁が示した驚きの理由とは?
【2025年7月最新判決】熊本地裁で偽旧1万円札輸入事件、被告に無罪判決!
2025年7月17日、熊本地方裁判所は、旧1万円札(聖徳太子肖像)の偽札を輸入した罪で起訴されていたベトナム国籍の男性(38歳)に無罪判決を言い渡しました。
この事件は「偽札輸入」「旧札の知識の有無」「供述の信憑性」が大きな争点となり、メディアでも大きく取り上げられています。
本記事では、なぜ無罪判決が下されたのか?という点に注目し、裁判のポイントを徹底解説します。
無罪の理由①:「偽札だと認識していた」証拠がなかった
裁判所がまず注目したのは、被告が「これは偽札だ」と知っていたかどうかという点です。
結論として、裁判官は次のように述べました。
「被告が輸入した紙幣が偽札であると知っていたとする決定的な証拠が見当たらない」
つまり、確実に「偽物だと知っていた」と言える証拠がなければ、有罪にはできないという考え方ですね。
これは刑事裁判でよく使われる「疑わしきは被告人の利益に」という原則にもとづいています。
無罪の理由②:旧1万円札を知らなかったのは不自然じゃない
次に争点となったのが、「旧1万円札の知識の有無」です。
被告が日本に初めて来たのは2012年。その頃にはすでに旧1万円札(聖徳太子札)は使われていませんでした。
なので、「見たことがない」「知らなかった」と主張しても、不自然ではないと裁判所は判断しました。
「旧1万円札を見たことがない外国人であれば、偽札かどうかの判断は難しい」
とされており、この点も被告に有利に働いたと見られます。
無罪の理由③:供述に信用性があると判断された
被告は、外国の知人女性から旧1万円札の画像が送られてきた際に、「これって本物?」と尋ねただけだと主張しています。
これに対し、裁判所はこう判断しました。
「『実際に存在する紙幣なのか』を聞いただけで、偽造かどうかまで判断したとは限らない」
つまり、「本物=偽造ではない」という認識ではなく、ただの確認に過ぎない可能性が高いと評価されたんです。
これは「動機」や「背景」をしっかり理解した上での判断ともいえます。
無罪の理由④:偽札の可能性を疑っていなかった供述が崩せなかった
最後のポイントは、「偽札の可能性をまったく疑っていなかった」という被告の主張を検察側が覆せなかったという点です。
裁判ではこのような「心の中(内心)」を証明するのはとても難しいんです。
結局、裁判所はこのように結論づけました。
「被告が『偽札かも』と疑っていたとする証拠は見当たらず、供述を否定できなかった」
これが無罪判決の最大の決め手となりました。
【時系列まとめ】偽旧1万円札輸入事件の流れ
日付
出来事
2025年 初頭
被告が旧1万円札176枚をベトナムから輸入
その後
銀行で両替・預金を試みるも偽札と判明
起訴
偽造通貨の輸入・使用の罪で起訴。懲役9年を求刑
2025年7月17日
熊本地裁で無罪判決が言い渡される
裁判官のコメントまとめ
判決時に裁判官は以下のようなコメントを残しています。
「旧1万円札を知らなかったとしても、特に不自然ではない」 「図柄の紙幣が実在するか尋ねただけ、という主張も否定できない」 「被告の供述には一貫性があり、信用性は高いと判断できる」
まとめ:無罪判決の背景にあった4つの重要ポイント
2025年7月に熊本地裁で言い渡された偽旧1万円札輸入事件の無罪判決は、単なる「偽札事件」ではありませんでした。
この裁判では、「被告が偽札と知っていたかどうか」という“認識”が最大の争点となり、それを検察が立証できなかったことが無罪の理由となりました。
さらに、以下のポイントが裁判官の判断に大きく影響しました。
旧1万円札(聖徳太子札)を知らなかったとしても、外国人にとっては不自然ではない 送られてきた紙幣画像に対して「本物か?」と聞いた行動は、単なる存在確認の可能性が高い 被告の供述には一貫性があり、信用性が高いと判断された 「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の大原則が適用された
この判決は、**偽造通貨事件における“認識の有無”**という法的な基準の難しさと、外国人被告への司法の対応のあり方についても一石を投じる結果となりました。
今後も似たような事例が起こる可能性は十分にあり、「旧紙幣の知識」や「国際感覚」が裁判のカギになることもあるでしょう。
こうした事例を知っておくことで、司法の判断基準や刑事裁判の考え方を深く理解するヒントになります。