背景と現状:ニホンウナギが直面する絶滅危機と流通の実態
ここ数年、「ニホンウナギ 絶滅危惧種」というワードをニュースやSNSでよく見かけませんか?
実は、私たちが土用の丑の日に食べているウナギの多くが、このニホンウナギにあたるんです。
でも残念ながら、このウナギたちは絶滅の危機に直面しているんですよ。
完全な養殖技術はまだ確立されておらず、いまも天然の稚魚である「シラスウナギ」を川や海から捕まえて育てているんです。
この方法だと、自然界のウナギの数がどんどん減ってしまうのは避けられないですよね。
たとえば、環境省の発表によれば、1980年代には日本全体で年間200トン以上のシラスウナギが採れていたのに、2020年頃にはわずか10トン前後まで減少!
年度
シラスウナギ採捕量(推定)
1980年
約220トン
2000年
約100トン
2020年
約10トン以下
こんな状況だからこそ、ウナギの保護や国際的な取引ルールが注目されているんですね。
EUの規制提案とワシントン条約:すべてのウナギ属が対象に?
2025年に開催されるワシントン条約締約国会議(CITES CoP20)では、ヨーロッパのEU(欧州連合)がある大きな提案を検討しています。
それは「ニホンウナギを含むすべてのウナギ属を国際取引規制の対象に加える」というもの!
現在すでにヨーロッパウナギは規制対象ですが、それを他の種、つまり日本や中国、韓国などで流通しているウナギにも広げようという動きなんです。
この提案がもし採択されると…
シラスウナギの輸出入に許可が必要 加工品(蒲焼きなど)にも規制がかかる 国際取引のハードルが激増
となって、ウナギが今よりずっと「入手困難な高級食材」になる可能性が高まります。
つまり、「土用の丑の日にうなぎを食べるのが当たり前」ではなくなる時代が、すぐそこまで来ているかもしれません。
日本(水産庁)の立場:なぜEU提案に反対しているの?
こうしたEUの動きに対して、日本の水産庁は明確に「反対」の姿勢を打ち出しています。
理由は大きく3つあります。
「ニホンウナギは国際取引によって絶滅の恐れがあるわけではない」と科学的データに基づいて主張していること 「日本の食文化への影響が大きすぎる」という文化的・経済的側面への配慮 「ヨーロッパウナギとニホンウナギは絶滅のリスクが全然違う」という科学的な区別をしてほしいという願い
実際、水産庁は韓国や中国など、ウナギが生息している国々と連携をとりつつ、規制の採択を阻止するための外交交渉を強化しているところです。
これは「ウナギの未来を守りつつ、食文化を維持する」という、かなり難しいバランスをとるための努力なんですね。
今後の見通しと「土用の丑の日」への影響は?
さて、気になるのは**今後ウナギがどうなるのか?**ということですよね。
まず今後のスケジュールですが、2025年11月〜12月にワシントン条約締約国会議が開催予定で、EU提案の提出締め切りは2025年6月27日です。
仮にこの提案が正式に出されたとしても、採択されるには締約国の3分の2以上の賛成が必要となるため、すぐに決まるとは限りません。
でも、もしこのEU提案が通ってしまうと…
ウナギの国際取引が制限 国内流通量の減少 価格のさらなる高騰 スーパーや飲食店での入手困難化
といった影響が想定されます。
実際、2024年時点ですでに土用の丑の日のウナギは1尾あたり2,000円〜4,000円台にまで価格が高騰しているんですよ。
年度
土用の丑の日のウナギ価格(平均)
2010年
約1,200円
2020年
約2,500円
2024年
約3,800円
今後はさらに価格が上がり、「うなぎ=庶民の味」ではなく、「うなぎ=超高級グルメ」になってしまう可能性も…!
まとめ:ウナギ規制は日本の食卓にどう影響する?
今回のEUによるウナギ規制提案は、単なる国際問題ではなく、私たちの食卓や文化に深く関わるテーマです。
特に「土用の丑の日にウナギを食べる文化」を守るためには、科学的根拠に基づいた冷静な議論と、国際社会との協調が欠かせません。
日本は今、ウナギの未来と文化の両方を守るために、世界と対話を続けている最中です。
今後の会議の動きに、ぜひ注目してみてくださいね。