イオンがBYD電気自動車を全国セールに踏み切った理由とは?日本のEV補助金制度が生む“逆転現象”を徹底解説

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イオン×BYD提携の全貌:実質200万円台EVが全国へ拡大

2025年秋、イオングループが中国の電気自動車メーカー「BYD(Build Your Dreams)」のEVを、全国約30カ所の店舗で展示・販売する大型キャンペーンを開始しました。

同時に、国のEV補助金を活用することで実質価格が200万円前後という“破格の値付け”が実現しています([1][2][3])。

この販売モデルでは、イオンが店舗と販売ネットワークを提供し、BYDは車両供給と販売支援を担当。

日本市場でのブランド認知拡大と販売強化を狙った共同戦略です。

とくに注目されているのは、EV「ドルフィン」や「アット3」といったコンパクト車が、ガソリン車並みの価格帯にまで引き下げられている点。

この価格設定は、単なる値下げキャンペーンではなく、日本のEV補助金制度が深く関係しています。

EV補助金制度の仕組み:国籍ではなく「環境性能」が基準

日本政府が運用する「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)」は、メーカーの国籍を問わず、環境性能が一定基準を満たしていれば補助対象となる制度です。

対象となる基準は以下の通りです([4])。

評価項目

内容

CO₂削減性能

一定の排出削減効果があること

航続距離

実用的な走行距離を確保していること

充電性能

急速充電対応やエネルギー効率の高さ

つまり、BYDのような中国メーカー製であっても、日本の環境基準をクリアすれば補助対象になります。

補助金額は車種や性能によって異なりますが、最大で85万円前後が国から支給されるケースもあります。

この制度は「国内外を問わず、環境性能に優れた車の普及を促す」という理念に基づいて設計されています。

しかし、その結果として日本の税金が外国メーカーの販売促進に使われているという構造的な矛盾も生まれているのです([5][4])。

中国では真逆の政策:自国産業保護型の補助金

一方、中国政府のEV支援策は、明確に自国産業を保護する仕組みとなっています。

中国では、補助金の対象が「中国国内で生産される車両」に限定され、外国メーカー(日本・欧米)は対象外です。

BYDをはじめとする中国メーカーは、中央政府および地方政府から直接・間接的に数千億円規模の補助金を受けています。

たとえば、BYDは過去に3480億円以上の政府補助金を受け取っており([6])、その結果として製造コストを大幅に抑え、低価格で海外市場に展開することが可能になりました。

欧米では、このような補助金による過剰生産と価格ダンピングが深刻な問題として議論されています。

EUは2025年以降、中国製EVへの最大38.1%の追加関税を検討しており([8])、アメリカでも同様に不公正競争是正のための制裁措置が検討中です([9])。

地域

補助金方針

外国メーカーへの対応

対抗措置

日本

環境性能重視

国籍不問で補助対象

特になし

中国

産業保護型

外国車は対象外

自国産業優遇

欧州

公平競争重視

中国車に制裁関税検討

関税強化策

米国

産業安全保障優先

中国車の輸入制限

IRA法で補助対象を限定

日本が外国EVに補助金を出す理由とリスク

なぜ日本は、中国を含む外国メーカーに補助金を出し続けているのでしょうか。

背景には、「環境政策を最優先する」という国の基本姿勢があります。

目的は産業保護ではなく、CO₂排出量の削減にあるため、国内メーカーか外国メーカーかは原則問わないという立場です([4])。

しかし、結果的にこの方針が国内産業の競争力を弱めているとの批判もあります。

特に以下のような問題が指摘されています([5][10][11])。

補助金により外国メーカーが日本市場に参入しやすくなる 国内メーカーの価格競争力が低下する 日本の税金が海外企業の利益に使われる 雇用・技術流出のリスクが高まる

国会では2025年以降、制度見直しの議論が本格化しており、立憲民主党や自民党内でも「国産メーカーを守る補助制度への転換」を求める声が上がっています([10][11][19])。

EV市場の現状:日本メーカーが直面する課題

日本のEV市場は、世界的に見ると依然として遅れ気味です。

2024年の新車販売に占めるEV比率は**約2.3%**にとどまり、中国の約30%、欧州の約20%と比べても圧倒的に低い数字となっています([20])。

この背景には、以下のような要因があります。

充電インフラの整備不足 国産EVの価格が高い 航続距離や充電時間への不安 政府支援の方向性が曖昧

一方、BYDやテスラなど海外メーカーは、補助金制度を巧みに利用しながら、価格競争力とブランド認知を高めています。

とくにBYDは「価格×性能×販売ネットワーク」を強みに、地方都市やイオンモールのような生活圏での接点拡大を図っています。

これは単なる販促イベントではなく、日本市場攻略の長期戦略の一部と見るべきでしょう。

専門家の見解:補助金政策は「再設計」が必要

経済産業省や専門家の間では、日本のEV補助金制度をこのまま維持すべきかについて議論が続いています。

政策シンクタンク「日本総研」の田中俊一氏はこう指摘します([8])。

「日本の補助金制度は環境重視の理念に忠実だが、結果的に海外勢が価格優位を得る構造になっている。

政策目標と産業戦略を分離するのではなく、両立を図る再設計が求められる。」

つまり、今後の焦点は「環境保護」と「産業保護」をどのように両立させるかという点です。

補助金の交付条件を「国内生産分」に限定する、あるいは「国産部品比率」を評価対象に含めるなど、制度の見直しが検討され始めています。

まとめ:イオンのBYD販売が映す“制度のゆがみ”

イオンはBYDのEVを全国で販売し、実質200万円前後から提供([1][2][3]) 日本の補助金制度は「環境性能」を基準とし、外国車も対象([4][5]) 中国は自国企業を優遇し、外国メーカーを補助対象外に設定([6][7]) 結果的に日本の税金が中国企業の海外展開を支援する構図に([10][11]) 政府内では制度見直しと産業戦略の再構築を求める声が拡大中

EVは地球環境にとって欠かせない技術であり、その普及を支える政策も重要です。

しかし、補助金の“恩恵を誰が受けているのか”という視点を見失えば、国民負担が他国の利益に変わる可能性もあります。

イオンとBYDの提携は、まさにその現実を映し出した象徴的な事例といえるでしょう。

参考文献・出典一覧

[1] https://news.yahoo.co.jp/articles/3b02e1ba496d8662833b68c814ac3fb4646591cd

[2] https://www.netdenjd.com/articles/-/324095

[3] https://www.nikkei.com/article/DGKKZO92055440R21C25A0MM8000/

[4] https://buzafire.com/byd24/

[5] https://merkmal-biz.jp/post/92027

[6] https://intensive911.com/other-car-brands/chinese-car-brand/309991

[7] https://www.yomiuri.co.jp/economy/20240717-OYT1T50196/

[8] https://www.jri.co.jp/file/report/tanaka2/pdf/15109.pdf

[9] https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/tsusho_boeki/fukosei_boeki/report_2025/pdf/20250611_02.pdf

[10] https://www.sankei.com/article/20250428-OENAO4TSHJH6DEMR3AYXIAS5DU/

[11] https://www.youtube.com/watch?v=F_vY2bkJhDk

[20] https://president.jp/articles/-/74621

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