『ピーマン白書』は1980年にフジテレビ系で放送されたテレビドラマですが、一度も正式な再放送が行われていません。その理由は、放送当時の歴史的な低視聴率と、放送局にとって「恥部」と見なされているという背景があるからです。
しかし近年では、カルト的な人気を誇る作品として再評価されつつあります。本記事では、再放送が行われない理由と、その知られざる物語について深掘りしていきます。
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歴史的な低視聴率と異例の短命さ
『ピーマン白書』が再放送されない最大の理由は、視聴率の低迷です。
このドラマは1980年10月4日から11月22日まで放送されましたが、初回視聴率はわずか5%台。第2話以降はさらに下落し、2%台にまで落ち込みました。これは、同時間帯に放送されていたプロレス番組『国際プロレスアワー』（東京12チャンネル）の視聴率をも下回る結果でした。
さらに、当初は全26回を予定していたにもかかわらず、視聴率の低迷によりわずか1ヶ月で打ち切りが決定。最終的には全9回に短縮されました。
放送短縮の異例な経緯
- 第5話放送後、翌週に突然最終回（第9回）が放送されるという急展開。
- 第6～8回は本放送時に未放送のままとなりました。
結果として、『ピーマン白書』は放送開始からわずか50日で終了。これは、当時のキー局製作の連続ドラマとしては史上最短の放送期間であり、2002年まで22年間破られない記録でした。
フジテレビにとっての「恥部」
『ピーマン白書』が再放送されないもう一つの理由は、フジテレビにとって「恥部」として封印されていることです。
当時の視聴率は明確な失敗と見なされ、局側にとっては「なかったこと」にしたい存在に。
批評家の指摘
- 「フジテレビが封印したい黒歴史ドラマ」
- 「映像ソフト化や再放送の動機がない」
このような評価もあり、放送局自らが再放送に積極的でない姿勢が続いています。
強力な裏番組との激突
『ピーマン白書』が低視聴率に苦しんだ背景には、強力な裏番組の存在があります。
同時間帯には、TBS系で絶大な人気を誇った『8時だョ！全員集合』が放送されていました。この番組は志村けんを筆頭にしたザ・ドリフターズのコントが話題で、常に高視聴率を記録。
視聴率の差
- 『全員集合』は常時20～30%超え
- 『ピーマン白書』は2%台に低迷
このような圧倒的な差により、『ピーマン白書』は視聴者を獲得できず、苦戦を強いられました。
時代を先取りした内容とミスマッチ
実は『ピーマン白書』は、内容自体の評価は決して低くなかったと言われています。
物語は、校長の「お前たち、小学校からやり直せ！」という叱責を真に受けた生徒たちが集団で中学校を脱走し、小学校を求めて旅に出るという斬新な設定。
これは当時としてはかなり先鋭的で挑戦的なテーマでした。
しかし、放送時間帯がゴールデンタイム（20:00～20:54）だったため、視聴者層と合わなかったのです。
視聴者の声
- 「今だったら深夜ドラマ枠で受け入れられていたはず」
- 「内容自体は面白かった」
現代ではサブカル的な評価が高まっており、再評価の可能性が指摘されています。
再放送の可能性と現状
『ピーマン白書』は、放送終了直後の1981年3月に深夜枠で一部再放送されました。
再放送の詳細
- 第1話の再放送
- 本放送時に未放送だった第6～8回の放送
- 最終回（第9回）の再放送
しかし、それ以降は正式な再放送は一度も行われていません。
ソフト化も未実現
- DVDやブルーレイなどの映像ソフトは未発売
- 2005年にイベント「テレビマンユニオンレトロスペクティブ」で一部上映されたのみ
現在は、YouTubeに非公式でアップロードされた映像が残っているのみです。
まとめ：再評価の兆しはあるものの再放送は難しい
『ピーマン白書』は、低視聴率と短命で打ち切られた伝説的なドラマです。しかし、内容自体は先鋭的で、現代ではカルト的な人気を誇っています。
近年ではストリーミングサービスの普及により、埋もれたドラマが再評価されるケースも増えています。
『ピーマン白書』も再評価の波に乗る可能性はあるでしょう。
しかし、フジテレビが「黒歴史」として封印している限り、正式な再放送やソフト化の実現は難しいと言わざるを得ません。
