はじめに：夢のマイホームが「未完成」で終わる現実
2024年12月、新潟県妙高市の住宅メーカー「Reve Bois Michel（レーヴ・ボワ・ミシェル）」が破産しました。
このニュースは多くの契約者に衝撃を与えました。なかには1800万円以上を支払ったにもかかわらず、家が一切建たなかったという深刻な被害も報じられています（Yahoo!ニュース）。
「お金を払ったのに家が建たない」「会社が倒産したらどうすればいいの？」──そんな疑問を抱く方も多いはずです。
この記事では、
住宅メーカーが破産した場合の法的な流れ 返金の可能性 **救済制度（住宅完成保証制度）**の仕組み 今すぐできる対応と予防策 を、法律・保証制度・専門家の見解を踏まえて、わかりやすく解説します。
破産時に何が起こる？──工事の停止と契約の行方
建築会社が破産を申し立てると、まず工事は即時停止されます。
その後、裁判所が「破産管財人」という専門家を選任し、今後の処理を引き継ぎます。
破産法第53条によれば、管財人は「契約を継続するか、解除するか」を判断します。
もし期限内に管財人からの連絡がない場合、契約は自動的に解除されたとみなされます（出典：ベリーベスト法律事務所）。
契約が解除されれば、施主（依頼者）は自分で新たな工務店を探し、工事の引き継ぎを依頼する必要があります。
ただし、引き継ぎには追加費用が発生するケースが多く、費用面でも精神面でも大きな負担となります。
支払い済みの1800万円は戻るのか？
結論から言うと、「全額返還」はほぼ不可能です。
なぜなら、支払済みの契約金や中間金は**「破産債権」として扱われ、破産財団（会社の残された資産）から他の債権者と公平に分配されるためです。
もし破産財団に資産がほとんど残っていなければ、施主の手元に戻るのはごく一部、あるいはゼロになることも**あります。
実際、同様の住宅会社の破産事例では、返金率が5〜10％以下にとどまるケースも報告されています（出典：住宅完成保証制度とは？｜スーモ）。
このため、破産後は感情的にならず、法的手続きに沿って債権届出（返金請求）を行うことが極めて重要です。
弁護士への相談を早めに行うことで、少しでも取り戻せる可能性を確保できます。
救済の鍵：「住宅完成保証制度」とは？
もしあなたが契約していた住宅会社が「住宅完成保証制度」に加入していた場合、救済のチャンスがあります。
この制度は、建築会社が倒産しても「他の工務店が工事を引き継ぎ」または「前払い金の一部を返還」してくれる公的保証の仕組みです。
保証内容
対応例
工事の引継ぎ
他社が工事を引き継いで完成させる
前払い金の返還
支払い済みの金額の一部を保証機構が返還
手続き期間
会社破産後すぐに申請が必要
主な保証会社
住宅保証機構、住宅あんしん保証、JIOなど
ただし、この制度は契約時に住宅会社が保証加入している場合のみ有効です。
残念ながら、レーヴ・ボワ・ミシェルのように未加入だった場合、保証は受けられません。
💡【ポイント】
契約時には「住宅完成保証制度加入証明書」や「保証約款」を必ず確認しましょう。
加入していなければ、将来的なリスクが格段に高まります。
（出典：住宅完成保証制度とは？｜スーモ、住宅保証機構）
被害にあったら今すぐ取るべき4つの行動
破産の報道を見て不安を感じている方は、次のステップをすぐに実行してください。
破産の正式情報を確認する 裁判所または破産管財人からの通知書を必ず待ちましょう。ネットの噂や報道だけで判断するのは危険です。 弁護士に相談して「債権届出」を行う 返金請求をするには、法定の期間内に債権を届け出る必要があります。 弁護士が代理で行うとスムーズです。 保証・保険の加入状況を確認する 住宅完成保証制度や瑕疵担保履行法（供託・保険）の対象になっていないか、契約書・重要事項説明書を確認します。 工事引継ぎの見積もりを取る 再建を希望する場合は、複数業者に見積もりを依頼し、追加費用の比較と信頼性のチェックを行いましょう。
🧩 Tip：国土交通省の「住宅紛争処理支援センター」では無料相談も受け付けています。
同様の被害を防ぐために──契約前のチェックリスト
今後、住宅会社と契約する前には、次の点を必ず確認してください👇
✅ 住宅完成保証制度への加入有無
✅ 瑕疵担保履行法に基づく保険・供託の有無
✅ 契約書に「支払い時期・条件」が明確に記載されているか
✅ 工期や支払スケジュールが不自然でないか
✅ 帝国データバンクや口コミでの経営状態の確認
特に、「契約金や中間金を前払いで求める」「会社の登記住所が住宅地や民家」という場合は要注意です。
倒産リスクが高い会社の特徴に当てはまることが多いからです（参考：ハウジングニュース）。
まとめ：泣き寝入りせず、情報と制度を味方に
住宅メーカーの破産は、誰にでも起こり得るトラブルです。
しかし、事前に保証制度や契約条件を理解していれば、被害を最小限に抑えることができます。
もしすでに被害に遭っている場合でも、
破産管財人の通知を待つ 弁護士に相談する 保証制度を確認する という3つのステップを確実に踏むことで、損失の一部を取り戻す可能性があります。
「マイホームの夢を諦めたくない」──そんな方こそ、正しい知識を武器に次の一歩を踏み出しましょう。
参考リンク・出典一覧
【特集】住宅メーカーが破産「ただのウソだった」約1800万（Yahoo!ニュース） 住宅建築中に会社が倒産！ 保証制度や工事の継続はどうなる？（ベリーベスト法律事務所） 住宅完成保証制度とは？（スーモ） 工務店の倒産が増加｜破産を防ぐ方法や保証とは（Housing News） 住宅メーカーが倒産したら保証はどうなる！？（iesaku.com）
