身体障害者手帳で「最重度の1級」と認定され、ほぼ寝たきりの状態でも、痛み(疼痛)のみを理由とした障害は、日本の障害年金制度では原則として支給対象外とされています。
その理由は、厚生労働省が定める「障害認定基準」に明確に記載されており、
「疼痛(痛み)は原則として認定の対象とならない」
とされているからです(厚労省基準:参照元)。
なぜ痛みが障害年金の対象外なのか?
障害年金の支給対象は、主に「身体の機能障害」や「日常生活に大きな制限を与える障害」とされています(参考)。
しかし、痛みには次のような理由から除外されるケースがほとんどです。
客観的に評価しにくい 痛みの程度は本人の主観に依存しやすく、医学的に診断書があっても「機能障害」として証明することが困難です。 判定要領で明確に除外 厚労省の判定要領に「疼痛は対象外」と書かれており、審査時点で不支給となることが多いです(事例)。 生活制限があっても対象外にされる現状 本来であれば「日常生活に深刻な支障」があれば支給対象ですが、痛みのみでは認められないケースが大半です。
実際には、Yahoo!ニュースの記事でも「痛みに苦しむ人ほど制度の壁に直面してしまう」と報じられています。
日本人には厳しい制度なのか?
日本の障害年金制度は「審査が年々厳格化している」という指摘が多くあります(参考)。
特に問題視されるポイント
不支給の増加 審査が厳しくなり、以前なら支給対象だった人も不支給になるケースが増加。 他制度とのズレ 身体障害者手帳で「最重度」と認定されても、障害年金では不支給になる場合がある(記事)。 痛み中心の病気が不利 線維筋痛症など、痛みが主症状の病気では、極めて重度で介助が必要な場合にのみ認定されるが、それでも困難(解説)。
こうした背景から、「日本の障害年金は世界的に見ても厳しい」という評価が出ています。
制度改善への動き
近年、制度改善を求める声が高まっています。
海外と比べて遅れている 他の先進国では痛みも障害認定の対象となる場合がありますが、日本は制度改正が進んでいません(福祉新聞)。 日弁連や患者団体の要望 日本弁護士連合会や患者団体は「公平な運用」「痛みも対象とする制度改革」を求めて声明を出しています(難病ネット)。
つまり、現行制度のままでは生活困窮や医療格差が拡大するリスクが高く、改善は避けられない状況です。
まとめ:痛みと障害年金のギャップ
痛み(疼痛)は、障害年金の認定基準で「原則対象外」とされている。 痛みで日常生活が制限されても、支給されないケースが大半。 日本の審査は年々厳格化し、不支給が増えている。 制度改善を求める声が弁護士団体や患者会から強まっている。
障害年金は「公平なセーフティネット」であるべきですが、現状では「痛みに苦しむ人ほど報われない」という矛盾を抱えています。
今後の制度改善に注目が必要ですね。
参考情報・引用元
最重度なのに障害年金「不支給」 寝たきり女性、痛みは対象外 – Yahoo!ニュース 最重度で障がい年金なし 判定要領「痛み対象外」 – 沖縄タイムス 痛みで動けぬ女性 障害年金不支給 – Yahoo!ニュース 痛みを主張しすぎて不支給になったケース(事例№5148) 障害年金がもらえない人は何が原因? – マネイロ 障害年金の審査は本当に厳しくなった? – 小川社会保険労務士事務所 障害年金を公平な制度に – 福祉新聞 障害年金の審査が厳しくなっているのは本当ですか? – オフィスなべ 線維筋痛症で障害年金を受給するための要件 – はじめての障害年金 障害年金制度の改善を求める要望書 – 難病ネット