色丹島出身・得能宏さんが語る「終戦直後のソ連軍上陸」──忘れられない戦後侵略の記憶
ソ連軍の色丹島上陸と日本人住民の恐怖
終戦直後の1945年9月1日、ソ連軍は北方領土の一つである色丹島へ上陸しました。
当時、島で暮らしていた日本人住民は、突然の完全武装したソ連兵の襲来に直面します。
その恐怖を語り継いでいるのが、色丹島出身の得能宏さんです。
得能さんは何度もこう語っています。
「ソ連兵が銃を持ち、完全武装で押し寄せてきた姿は絶対に忘れられない。」
これは、終戦後の混乱の中で起きた「知られざる戦後侵略」とも言える出来事でした。
日本人住民は突如として占領下に置かれ、自由や生活を奪われるという大きな衝撃と恐怖を体験したのです。
なぜ北方領土の歴史と元島民の証言は広く知られていないのか?
このような証言が、なかなか全国的に知られてこなかった背景には、いくつかの理由があります。
知られざる理由
元島民の高齢化が進み、当事者が減少していることで記憶が風化しつつある 北方領土問題が外交上デリケートなテーマであり、報道や教育で取り上げられる機会が少なかった シベリア抑留や本土の空襲に比べ、北方領土での追放や占領の記録・証言が注目されにくかった 地元や遺族による証言活動は続いているが、全国規模での歴史教育における扱いが不十分だった
北方領土返還運動と元島民の証言活動の現在
近年、北方領土返還を求めるイベントや集会、元島民による証言活動が各地で行われています。
しかし、戦後からすでに80年が経過し、当時を直接知る元島民の数は急速に減少しています。
そのため、今後は
証言を映像や音声として記録に残すこと 学校教育やメディアで取り上げる機会を増やすこと インターネットやSNSを通じて若い世代にも情報を伝えることが、社会全体の課題となっています。
まとめ:「知られざる戦後侵略」を次世代へ伝えるために
北方領土問題は現在も解決していない重要な国際問題です。
そして、色丹島や択捉島、国後島、歯舞群島から故郷を追われた元島民の証言は、戦争の記憶を未来へ伝える貴重な歴史資料です。
今後、こうした証言を広く発信し、若い世代が「なぜ北方領土が日本固有の領土なのか」を理解するための教育や啓発が必要です。
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