2025年5月、人気フードデリバリーサービス「出前館」で大規模な不正アカウント貸与事件が発覚しました。
この事件では、日本人名義で作成された配達員アカウントが、就労資格のない外国人に違法に貸し出されていたことが明らかに。
その結果、出前館の配達ネットワークを悪用して不正な収益を得ていたグループの存在が浮き彫りになり、社会に大きな衝撃を与えました。
警視庁は、この不正行為に関わったとして、出前館関連会社の役員を含む4名を逮捕しています。
不正アカウントの仕組みと事件の手口【SNSでの募集と外国人の稼働】
今回の「出前館 不正アカウント事件」では、以下のような手口が使われていました。
逮捕されたのは、東京都中野区に拠点を置くコンサル会社の役員・山崎光太郎容疑者(50歳)含む日本人3名と、ウズベキスタン国籍の外国人1名。 山崎容疑者らは、SNS(XやFacebookなど)を通じて日本人を募集し、出前館の配達員アカウントを作成。 作成したアカウントを就労資格のないウズベキスタン人ら外国人に貸与。 不正に貸し出されたアカウントは150件以上に上り、容疑者グループは月約150万円、累計で5400万円以上の報酬を得ていたとみられます。
この手法は、配達員登録に必要な本人確認を悪用した「名義貸しビジネス」とも言える構造でした。
外国人の不法就労と不正収益の仕組み
この事件で問題となったのは、労働資格のない外国人が日本人名義のアカウントで働くという点です。
出前館の配達報酬制度を悪用して、以下のような仕組みで収益が発生していました。
ウズベキスタン人などの不法就労者が実際に配達業務を担当。 配達報酬は日本人名義の銀行口座に振り込まれ、その一部が手数料として仲介業者や名義貸与者に還流。 この仕組みは「副業OK」と称してSNSで広まり、他のフードデリバリーサービスでも類似の事例が報告されています。
不正構造の簡易図
内容
アカウント名義
日本人
実際の配達員
外国人(就労資格なし)
報酬の流れ
日本人→仲介者→外国人
不正件数
150件以上
こうした不正就労は法的に重大な問題となり、企業側にも責任が問われるケースがあります。
事件が発覚したきっかけ【交通事故からの捜査】
この不正が明るみに出たのは、偶然の出来事からでした。
なんと、不正アカウントで稼働していたウズベキスタン人が、無免許で原付バイクを運転中にひき逃げ事故を起こしたことが発端。
この事故をきっかけに、警察がその配達員の身元を調査したところ、出前館のアカウント名義と実際の人物が一致しないことが判明。
そこから捜査が進展し、大規模な不正ネットワークの存在が浮かび上がったのです。
出前館の公式対応:本人確認強化と顔認証導入
出前館はこの不祥事に対して、以下のような厳正な対応策を発表しました。
「不正なアカウント貸与は断固として許容しない」との強い声明を発表。 警察への情報提供や被害届を提出。 本人確認システムを再構築し、AIによる顔認証技術の導入を進めているとのこと。
また、外国人が配達員登録する際には、以下の書類提出を必須としています。
在留カード 特別永住者証明書
しかし、今回のように第三者を介した登録によって不正が起きたケースでは、運営側の目が届かないことも課題となっています。
まとめ:出前館の不正アカウント事件と今後の対策
今回の「出前館 配達員アカウント不正貸与事件」は、フードデリバリー業界全体に警鐘を鳴らす重大事件となりました。
SNSなどで募った日本人の名義で配達員アカウントを不正に作成。 労働資格のない外国人が150人以上、違法に稼働。 主犯格らは合計で数千万円規模の報酬を得ていたとされています。 出前館は再発防止として、本人確認の徹底、顔認証導入、啓発活動の強化などを実施中。
この事件を通じて、企業と利用者の双方がアカウントの適正管理と本人確認の重要性を再認識する必要があるでしょう。