深刻化する日本農業の未来
全国17都府県で農地の半数以上が「10年後に後継者未定」―深刻化する日本農業の未来
全国17都府県で、農地の5割以上が「10年後に後継者未定」となる深刻な状況が明らかになりました。
その主な理由は、人口減少や高齢化、若者の農業離れ、収益の不安定さ、そして厳しい労働環境が複合的に影響しているためです [1][2][3][4][5]。
この記事では、農水省の調査結果をもとに「なぜ後継者不足が起きているのか」を分かりやすく解説し、今後の課題と対策についても詳しく紹介します。
調査結果の概要
農林水産省は2025年9月9日、全国の地域計画を初めて集計しました。
その結果、全国農地の約31.7%(約134万ヘクタール)で10年後の担い手が未定であると発表しました [6][1][5]。
特に西日本では、以下のように未定率が非常に高い傾向にあります。
都道府県
未定率
徳島
73.5%
香川
71.9%
沖縄
76.7%
全国17都府県で未定率が5割を超えており、日本の農業基盤の将来に大きな影響を与える可能性があります [1][7][8][9]。
一方で、規模拡大が進んでいる北海道などでは、未定率が比較的低い傾向です [1]。
主な後継者不足の理由
人口減少と高齢化
日本の農村地域では少子高齢化が進行しており、農業従事者の平均年齢は約70歳に達しています [2][3][4]。
団塊世代を中心とした主要層が一斉に引退期を迎えることで、農地を引き継ぐ人材が不足しているのです [3]。
若者・後継世代の農業離れ
農業は「収益が不安定」「長時間労働」「休日が少ない」といった厳しい環境が多く、若者から敬遠されがちです [2][4]。
また、都市への人口流出によって、農村に若い世代が残りにくい現実もあります [2][3][4]。
新規参入の難しさと経営課題
日本の農家は世襲が多く、新規参入者には「土地取得の難しさ」や「初期投資の大きさ」という壁があります [10]。
特に小規模農家では、経営資源の不足や収益性の低さが後継者不足に直結しています [4]。
地域的な特徴
中山間地域や離島などでは、人口減少と高齢化がさらに深刻で、農地の後継者未定率が特に高い傾向です [1][8][4]。
一方で、農地の集約化や規模拡大が進む地域では、後継者が比較的確保されやすいことも分かっています [6][1]。
対策と課題
農地の後継者不足を放置すれば、耕作放棄地の拡大や農業生産力の低下につながるリスクがあります。
そのため、以下のような対策が急務です。
農地の集約化による効率化 新規就農者への支援拡充(補助金・研修制度など) デジタル農業やスマート農業の導入 働き方改革による労働環境の改善
政府はすでに予算を投じ、自治体も新規就農者向けのサポートを強化していますが、まだ十分とは言えません [4][11][8]。
まとめ
全国で農地の3割以上が10年後に担い手未定という結果は、日本の農業にとって極めて重大な警鐘です。
人口減少と高齢化、若者の農業離れ、新規参入の難しさといった課題が重なり、農村の未来は厳しい局面を迎えています。
ただし、デジタル技術や政策支援によって課題解決の可能性もあります。
農業の持続可能な未来を守るために、国・自治体・地域社会が一体となった取り組みが必要不可欠です。
情報源
[1] 後継未定農地、17都府県で5割 政府初調査、集約化が急務 – Yahoo!ニュース
[2] なぜ農家が減っているのか?日本で農家が減少している5つの理由 – イチゴテック
[3] 農家の後継者になるには?支援制度や補助金について解説 – 農業ジョブ
[4] 日本の農業で進む高齢化問題と後継者不足問題 – シェア畑
[5] 全国の農地の30%余で10年後の担い手決まらず – NHK
[6] 後継者未定の農地、17都府県で5割超 農水省が初公表 – 日本経済新聞
[7] 農地後継未定 沖縄7割超 実態初集計 – 沖縄タイムス
[8] 後継未定農地、17都府県で5割 政府初調査、集約化が急務 – 沖縄タイムス
[9] 神奈川県内の農地、後継者未定は47.7% – 神奈川新聞
[10] 農業の高齢化問題と後継者不足の現状について – あぐりナビ
[11] 農業の人手不足を解決するために!問題の原因と4つの解決策 – MINORASU