近年、「日本の森林が外国資本に買われている」というニュースを耳にしたことはありませんか?
特に注目されているのが、中国系企業による水源地を含む森林の買収です。
2025年10月に公開された昭島聡氏による寄稿記事「外国人でも簡単に『日本の水』を支配できる…全国各地で着々と進む『中国人による森林買収』の二大リスク」[1][2]では、
日本の法制度の“盲点”を突く形で進む森林買収の実態と、その背後に潜む「水資源支配リスク」に警鐘が鳴らされています。
本記事では、その内容をもとに、
現在どんな場所で森林買収が起きているのか なぜ外国資本が「水源地」を狙うのか 日本の法制度にどんな抜け穴があるのか そして、私たちが取るべき対策とは?を、最新データと具体的な事例を交えながら、わかりやすく解説します。
森林買収の現状:北海道から九州まで広がる“静かな侵略”
2008年、三重県大台町での水源林買収の打診を皮切りに、長野県天龍村、岡山県真庭市、北海道伊達市・壮瞥町、群馬県嬬恋村など、全国各地で中国資本による森林買収が確認されています[1][2]。
林野庁の2025年時点の調査では、外国資本による森林買収は295ヘクタール以上に達しており、その約7割が北海道に集中しています[3]。
地域
買収面積(推定)
主な買収目的
北海道
約210ha
観光・水源地確保
長野県
約25ha
別荘・水利用
岡山県
約18ha
林業投資
群馬県
約10ha
水源開発・事業拠点
その他
約32ha
資産運用・投機
一見すると「ただの投資行為」に見えますが、問題はその土地の中に“水源”が含まれていること。
日本では、地下水は「土地の所有者の私有財産」とされており、森林を買収することで地下水の利用権を実質的に独占できてしまうのです[4]。
つまり、「森林買収=水資源の買収」と言い換えても過言ではありません。
外資による森林買収の「二大リスク」とは?
昭島氏の記事では、こうした動きに対して「二大リスク」が指摘されています[2]。
1. 水資源支配リスク:「土地を買えば水も手に入る」日本の構造
日本の法律では、地下水は公的資源ではなく「土地所有者の私有財産」とされています。
そのため、外国企業が水源地を買えば、その地域の地下水利用を独占することができるのです[4][2]。
たとえば、もし外国資本がある地域の主要な水源地を所有すれば、
地元の工場が使う水のコストが上がる 農業用水が制限される 地域住民の生活水が外資に依存する
といった事態も起こりかねません。
林野庁による調査では、購入者の約6割が中国本土、4割が香港系企業であることが判明しています[2]。
つまり、日本の水源が徐々に「外国の所有物」となりつつあるのです。
2. 管理放棄・環境破壊リスク:買ったまま放置される“死の森”
もう一つのリスクは、買収された森林の管理放棄による環境悪化です。
投機目的で買われた森林は、適切な手入れがされないまま放置されるケースが多く、
木が過密になり山が荒れる 保水力が低下し、土砂崩れや洪水の危険が増す 水質悪化による地域の生態系破壊
といった悪影響が生じます[5]。
北海道では、外資が買収したまま放置した森林が、台風の影響で大規模な土砂崩れを引き起こした事例も報告されています[3]。
森林は「国土の盾」であり、「水のダム」。
その保全が失われれば、日本の安全保障そのものが脅かされるのです。
背景にある法制度の盲点:外国人でも土地を“自由に”買える日本
では、なぜこうした外国資本による森林買収が可能なのでしょうか?
その理由は、日本の土地制度があまりに緩いためです。
制度の問題点
外国人土地法が事実上機能していない 地下水を公的資源として扱わない
この2点が大きな盲点となっています[6][4]。
外国企業が「水源を含む土地」を購入しても、政府の許可は不要。
つまり、極端に言えば「海外からリモートで日本の水をコントロールする」ことも可能なのです。
一方、欧米諸国では、
外国人の土地購入を制限 水資源を国家の管理下に置く といった制度が整っています。
日本は今、法整備の遅れによって、水資源の主権を失うリスクにさらされています。
政府の対応と課題:国籍届け出義務の導入
2025年10月、国土交通省はようやく動き出しました。
今後は土地取引の際に「国籍の届け出義務」を追加し、水源地の保護を強化する方針を発表しています[7]。
しかし問題は、買収後の利用実態を把握できないこと。
監視体制が整っておらず、どの企業がどのように土地を利用しているのか、地方自治体ですら把握できていません[8]。
これでは「届け出制度」は絵に描いた餅です。
持続的な監視と、実効性ある規制が求められています。
中国資本の“本当の狙い”とは? 水だけでなく、経済と安全保障への影響も
記事では、森林買収の背景にある「中国資本の本当の目的」についても触れています。
それは、単なる投資ではなく、日本の水資源確保と地政学的影響力の拡大だというのです[9][7][2]。
たとえば、
将来的な水不足を見越した「戦略的水源確保」 日本企業への供給コントロールによる経済的圧力 さらには、国防上の重要地域への進出といった“静かな侵略”の一環として分析する専門家も増えています[15][16]。
水は21世紀の石油とも言われるほどの戦略資源。
この動きは、もはや環境問題ではなく「国家安全保障」のテーマにまで発展しているのです。
まとめ:水を守るために今、私たちができること
私たちが今できることは、
「問題を知ること」から始まります。
自治体の土地登記や国交省の外国資本取引データを確認し、
地域の水源地が誰のものになっているのかを意識することが第一歩です。
そして、国には
外国人による土地所有の規制強化 水資源を国家資産として明確化する法整備 買収後の利用実態を監視する体制づくりが求められます。
水は命の源であり、未来の子どもたちに引き継ぐべき「共有財産」です。
“静かな侵略”に気づいた今こそ、国民一人ひとりが声を上げる時なのです。
引用・参考文献
[1] 外国人でも簡単に「日本の水」を支配できる…全国各地で着々と進む中国人による森林買収

[2] Yahoo!ニュース(Finance)「外国人でも簡単に『日本の水』を支配できる…全国各地で着々と進む『中国人による森林買収』の二大リスク」

[3] 北海道新聞「資源奪われる外資の土地買収」

[4] 地下水の権利と外国人の土地所有
[5] 外国資本が日本の土地を買うリスクとは?

[6] 狙われる国土、森、水──なぜ日本は手をこまぬいているのか

[7] 産経新聞「大規模土地取得、国籍の報告義務を追加 水源地保護へ」

[8] TBS News DIG「外資系企業が“約700ヘクタール”の山林を大量買収」

[9] Japan Forward「謎の森林買収に中国の影」