2025年、日本の「お米の値段」がここまで上がるとは、多くの人が予想していませんでした。
スーパーでは「5kg 4200円」という値札が当たり前になり、家計を直撃しています。
では一体、この米価高騰の裏で誰が儲けているのか?
この記事では、JA農協・大手卸売業者・政府の政策という三つのプレイヤーの動きを中心に、構造的な問題を分かりやすく解説します。
1. 誰が儲けているのか?―米価高騰の“勝者”たち
まず、2025年の米価上昇で最も利益を得たのは、卸売業界の大手「木徳神糧」などの商社系企業です。
同社は過去最高の売上1650億円・純利益28億円を記録し、業績が史上最高水準に到達しました(note.com)。
高値で販売しても、消費者は他に選択肢がないため購入せざるを得ない――。
この「価格支配構造」が、卸業者の利益を支えています。
一方で、JA農協も流通の中核として大きな利益を得ています。
特に注目すべきは「備蓄米取引」。
政府が市場安定化のために買い入れた備蓄米の9割以上をJAが落札しているのです(trend-nami-yomu.com)。
JAはこれを「買い戻し条件付き」で民間業者に再販し、供給量をコントロール。
市場の米の量をわざと減らすことで、価格を高止まりさせているとも指摘されています。
つまり、
卸売業者:高値で売り抜ける構造 JA農協:価格を操作できる流通の支配権 という形で、両者が米価上昇の最大の受益者となっているのです。
2. 米価高騰の背景―なぜここまで上がったのか?
では、どうして米の値段がこれほどまでに高くなったのでしょうか。
要因は大きく3つあります。
① 卸売業者による「買い占め」的行動
商系業者が「今後もっと高くなる」と見込んで米を大量に買い集めており、
市場の流通量が減少しました。
「下がる前に売り抜けよう」という思惑もあり、まるでバブル相場のような状況に(jacom.or.jp)。
結果、市場に出回るお米が不足し、価格はさらに上昇。
供給が減れば値段が上がる――これは経済の基本原理ですが、まさにその典型例です。
② JAによる高めの「概算金」設定
JAが農家に提示する「概算金」(先払いの買い取り価格)を高めに設定したことで、
農家も高値を維持しようとする流れができました。
結果として、小売価格も下がりにくくなり、5kg 4200円という水準が定着しています(cigs.canon/article/20250602_8934.html)。
③ 地域外業者の参入と混乱
さらに、地域外の業者が高値で買い取ることで地元市場が不安定化。
各地域での需給バランスが崩れ、全体として“品薄感”が演出されているのです。
3. 政府の政策転換と今後の見通し
米価の高止まりを受け、政府もついに動き始めました。
2026年産の主食用米については、生産量の目安を711万トンに引き下げる方向で調整しています。
2025年の748万トンから大幅減ということで、「増産路線」から「減産路線」への政策転換が進んでいます(Yahoo!ニュース、沖縄タイムス)。
表向きの理由は「供給過剰による価格下落を防ぐため」。
しかし、実際には**市場価格を下げないための“値崩れ回避策”**とみる専門家が多いです(Yahoo!ニュース)。
つまり、2026年も高値が続く可能性が高いのです。
今後の価格見通し(2025~2026年)
年度
平均小売価格(5kg)
政策動向
備考
2024年
約3,500円
生産調整なし
通常水準
2025年
約4,200円
減産議論開始
卸業者が利益拡大
2026年(予測)
4,000〜4,300円
減産実施見込み
高値継続予想
(参考:CIGSレポート、Yahoo!ニュース)
4. 米流通の構造的問題―誰が得して誰が損しているのか?
最も重要なのは、「誰が儲けて、誰が損しているのか」という視点です。
以下の表を見てみましょう。
主体
利得・行動
市場への影響
JA農協
備蓄米取引の独占・販売量調整
価格を維持・高止まりを助長
卸売業者
高値見込みの買い占め・抱え込み
流通量減少・市場の投機化
政府
減産による価格下支え政策
消費者価格の上昇が続く
(出典:trend-nami-yomu.com、coki.jp)
この構造では、利益が「流通の中間層」に集中します。
つまり、JAと卸売業者は潤い、農家と消費者が苦しむ構図です。
農家は「減産要請」により収量を減らされ、結果的に収入が安定しません。
消費者は高値のお米を買い続けざるを得ない。
その一方で、JAと卸売業者は「量を減らしても利益が出る」仕組みを作り上げています。
5. 専門家が指摘する“構造的利権”とは?
経済アナリストの間では、2025年の米騒動は「令和の米バブル」と呼ばれることもあります(gohan.soramido.com)。
背景には次のような構造的利権が存在しています。
JAによる備蓄米取引の独占 政府補助金を通じた価格維持政策 卸売業者による在庫抱え込み
これらが連鎖的に作用し、結果として「市場が正常に機能しない」状況を作り出しています。
まさに、“政策と流通の歪み”が価格を支配しているのです。
6. まとめ:高値はいつまで続くのか?
現時点では、米価が大幅に下がる兆しは見えていません。
減産政策により供給が制限されるため、少なくとも2026年秋までは高値が続くと予想されます(CIGS)。
🔍まとめポイント
2025年の米価高騰で最も儲けたのはJA農協と大手卸売業者 備蓄米取引の独占構造が価格高止まりの原因 政府の減産政策は、実質的に高値維持策 農家と消費者が“損する”構造が続いている
📚 引用元一覧
2025年にコメ卸売業者が過去最高の売上を記録 コメ価格高騰の黒幕は誰だ? 備蓄米 誰が儲かる? 2025年産米集荷「まるでバブル」 来年秋まで「5㎏4200円」続く見込み コメ政策転換・減産へ 政府の減産政策で高値継続か コメ政策転換の真相 減産による高値維持予想
