近年、「南鳥島」という名前をニュースなどで耳にする機会が増えてきました。
実はこの島の周辺には、世界でも有数のレアアース資源が眠っていることが明らかになっており、世界中が注目しています。
日本が長年抱えてきた「資源輸入依存」という構造を変える可能性を秘めているんです。
では一体、南鳥島のレアアースとはどんな資源で、なぜ今、世界がこの海域に注目しているのでしょうか?
この記事では、その埋蔵量・価値・地政学的リスク・開発の課題と展望まで、最新データをもとに詳しく解説していきます。
南鳥島のレアアース資源とは?驚きの埋蔵量と特徴
南鳥島(東京都小笠原村)は、日本の最東端に位置する小さな島ですが、その排他的経済水域(EEZ)内の海底には、なんと約1600万トンのレアアース泥が眠っているとされています(産経新聞, 2018)。
これは世界第3位の規模であり、
特に「ジスプロシウム」「テルビウム」などの重希土類は、世界の数百年分の需要をまかなうほどの量が確認されているそうです(ITmedia, 2018)。
このレアアースは、深海の泥に含まれており、
一部では中国の陸上鉱山に比べて20倍以上の濃度が観測されるなど、非常に高品質なのも特徴です(日本経済新聞, 2013)。
項目
内容
埋蔵推定量
約1600万トン
主な希土類元素
ジスプロシウム、テルビウム、イットリウムなど
特徴
高濃度・低環境負荷型の泥状資源
採取深度
約5,000〜6,000メートルの深海
こうしたデータからもわかるように、南鳥島のレアアースは「地球の宝箱」と呼ばれるほどのポテンシャルを秘めています。
なぜ世界が南鳥島に注目?レアアースの価値と経済的意味
そもそも「レアアース」とは、電気自動車(EV)・風力発電・スマートフォン・軍事機器など、現代のハイテク産業に欠かせない元素の総称です。
レアアースがなければ、モーターやバッテリー、磁石などの性能は格段に落ちてしまいます。
そして、レアアースの価格は非常に高価で、
市場によっては1トンあたり数百万円にも達することがあります(エネフロ, 2023)。
現在、日本はレアアースの7割以上を中国から輸入しています。
そのため、もし中国が輸出を制限すれば、日本の自動車・電子部品産業は大きな打撃を受ける可能性があります。
これが、南鳥島のレアアース開発が「経済安全保障の切り札」と言われる理由なのです。
日本が自国の海で資源を確保できれば、中国依存から脱却し、サプライチェーンの安定を守ることができます。
外国が狙う理由と地政学的リスク
では、なぜ外国も南鳥島のレアアースに関心を示しているのでしょうか?
最大の理由は、中国が現在も世界のレアアース供給の約7割を独占していることにあります(産経新聞, 2025)。
中国は過去にも、外交カードとしてレアアースの輸出を制限したことがあります。
この「資源の武器化」が国際的なリスクとなっており、各国は代替供給源を必死に探しています。
南鳥島沖のレアアースは、その中でも中・重希土類が豊富で、EVモーターや次世代エネルギーに必須。
そのため、米国や欧州も日本の動向を注視しています。
さらに懸念されているのが、海洋権益をめぐる中国の動きです。
南鳥島周辺を含む太平洋海域では、中国が海底探査・調査を名目に活動を強化しており、日本のEEZ内の資源確保を脅かすケースも指摘されています(JFSS, 2023)。
こうした状況を踏まえ、日本は採掘技術・監視体制・海上保安の強化を進めており、資源開発と安全保障が一体化した新たな政策領域になっています。
深海開発の課題と日本の挑戦
南鳥島のレアアース開発には、夢のような可能性がある一方で、課題も少なくありません。
まず、採掘コストが非常に高い点です。
海底5,000メートルという超深海での作業には、特殊な無人探査機(ROV)や採泥装置が必要で、1回の試験でも数億円単位の費用がかかるといわれています(レコードチャイナ, 2024)。
さらに、環境影響の懸念も無視できません。
深海生態系は未解明な部分が多く、採掘によってどのような影響が出るかを慎重に評価する必要があります(企画書作成.com, 2024)。
しかし、日本はこの課題を乗り越えるために、
東京大学などの研究機関が中心となって効率化・環境配慮型の採取技術を開発しています(東京大学UTokyo FSI, 2024)。
もし商業化が実現すれば、日本は「レアアース供給国」として新たな地位を確立できるかもしれません。
それは単なる資源確保にとどまらず、エネルギー政策・外交戦略・技術覇権にも大きな影響を与えるでしょう。
日本の未来を変える“海の宝”——南鳥島レアアースの可能性
南鳥島のレアアースは、まさに日本の未来を左右する「海の宝」です。
この資源の商業化が進めば、日本は資源大国として新しい道を歩むことができます。
もちろん、環境やコスト、国際協力などの課題は多いですが、
それを一歩ずつ乗り越えることで、日本は資源を“持たない国”から“創り出す国”へと変わっていくのです。
南鳥島沖で進む深海プロジェクトは、経済安全保障・科学技術・外交のすべてをつなぐ日本の“次の一手”といえるでしょう。
まとめ:南鳥島レアアースは「日本の未来を変えるカギ」
南鳥島沖に眠るレアアース資源は、単なる地下資源ではありません。
それは、日本が“資源輸入国”から“資源供給国”へと変わるチャンスを秘めた「戦略的資産」です。
今、日本はエネルギー・テクノロジー・安全保障の三つの分野で大きな転換期を迎えています。
その中で南鳥島のレアアースは、以下のような意味を持っています👇
✅ 中国依存からの脱却:安定したサプライチェーンを確立できる。
✅ 経済安全保障の強化:国家戦略としての資源確保。
✅ 技術革新の加速:深海採掘技術や環境評価技術が進歩。
✅ 国際的地位の向上:アジア太平洋の資源供給拠点として注目。
もちろん、環境リスクやコストの問題など、乗り越えるべき壁もたくさんあります。
でも、日本は過去にも“ゼロから新しい技術を生み出す力”を見せてきました。
レアアース開発の本格化は、単に資源を掘ることではなく、
「持続可能で強い日本経済」を築くための一歩です。
南鳥島の海底に広がる膨大な資源は、
次の時代を切り開く**“希望の鉱脈”**と言えるでしょう。
これから数年の日本の政策・技術開発・国際関係が、
この“海の宝”の行方を大きく左右することになります。
🔗 参考・引用元
期待が強まる国産レアアース。南鳥島沖に眠るレアアース泥(東洋経済) 南鳥島のレアアース、世界需要の数百年分と判明(ITmedia) 日本が深海のレアアース採掘へ(Record China) レアアース「武器化」で自滅へ(MAG2NEWS) 南鳥島レアアース泥・マンガンノジュールを開発して日本の未来(東京大学) 中国が狙う海洋資源国家日本(JFSS)
