2025年の秋、日本の宇宙開発に関するあるニュースがSNSをざわつかせました。
「ホリエモン（堀江貴文）のロケット補助金が打ち切り!?」
「片山さつき財務大臣がロケット補助金を見直すって本当？」
TikTokやX（旧Twitter）などでそうした投稿が拡散され、多くの人が「え、ホリエモンの会社どうなるの？」と注目しました。
けれども──2025年11月時点で、「補助金が全面的に打ち切られる」という公式発表は存在しません。
ではなぜ、ここまで話題が広がったのでしょうか？
この記事では、SNSで飛び交う情報の真偽を整理しながら、補助金見直しの背景・インターステラテクノロジズ（IST）の現状・今後の展望までを、やわらかく、でも確実に深掘りしていきます。
1. なぜ今「ロケット補助金」が注目されているの？
2025年秋、新たに財務大臣に就任したのは片山さつき氏。
就任直後から、「補助金や助成金の無駄を国民目線で見直す」と発言し、改革路線を打ち出しました。
この発言がメディアで報じられると、SNS上では次のような投稿が急増します。
「ホリエモンのロケット補助金が削られるらしい」
「ISTへの支援が廃止になるって動画で見た！」
とくに、堀江貴文氏が出資・支援している**インターステラテクノロジズ（IST）**が標的のように見られたことで、話題は一気に拡散。
TikTokやYouTubeでは「片山大臣 vs ホリエモン」的なタイトルの動画が並び、SNSトレンドでも「#ホリエモンロケット」「#補助金見直し」が連日ランクインしました（参考：Yahoo!リアルタイム検索）。
けれども、情報のほとんどは「憶測」や「編集された動画」から生まれたもの。
実際には、「補助金打ち切り」という決定はまだ行われていないのです（出典）。
2. 補助金見直しの本当の目的とは？──片山さつき氏の狙いを探る
片山大臣が言う「補助金見直し」は、単なる削減ではなく「税金の使い方をより透明に、効果的にする」ことが目的。
実際、財務省が掲げる方針は以下の通りです👇
政策目的
内容
無駄の削減
成果が出ていない補助金を厳格に評価
成果重視
技術・雇用・地域波及効果が明確な事業を優先
公平性確保
特定企業に偏らない支援体制へ
財政健全化
国民負担を減らしつつ新規分野へ投資
つまり、「ISTが悪いから削る」ではなく、「補助金の仕組みそのものを再点検する」というのが実際の狙いです（参考：note）。
それでも、名前が有名な堀江貴文さんが関係していることで、どうしても注目度が高くなってしまったのが今回のケース。
ネットでは「堀江ロケットvs官僚の構図」といった見方が広がりました。
3. インターステラテクノロジズ（IST）とは？民間ロケットの希望と現実
では、そもそもISTってどんな会社なのでしょうか？
北海道・大樹町を拠点に活動する民間宇宙ベンチャー企業で、堀江貴文氏が創業時から出資・応援しています。
同社のミッションは、「誰もが宇宙に手が届く未来をつくる」こと。
2019年には日本初の**民間単独での宇宙到達ロケット「MOMO」**を成功させ、話題を呼びました。
しかし、商業化の道のりはまだ険しいです。
小型衛星打ち上げロケット「ZERO」の開発が続いていますが、度重なる延期やコスト超過も発生しています。
ISTがこれまで受けてきた補助金は、最大46.3億円（SBIR制度などを含む）。
これは、地域振興・技術開発支援を目的としたもので、同社は適法に申請・採択されています（参考：rosy_puma1215氏のnote）。
4. SNSで拡散する“誤情報”の正体
「補助金打ち切り」という言葉が拡散したきっかけは、SNSでの切り取り投稿やショート動画でした。
一部の動画では、「片山さつき大臣がホリエモン補助金を没収！」という見出しがつけられていましたが、実際はそんな発言は確認されていません（TikTok動画参照）。
さらに、匿名サイトやまとめブログがその情報を引用し、よりセンセーショナルな見出しで拡散。
結果として「IST＝補助金没収された企業」という誤解が広がったのです。
これは、近年のSNS報道の典型的なパターンでもあります。
「真実よりもインパクトが先に広がる」現象です。
5. 政府の本当の方針：「成果連動型支援」への転換
一方で、政府が本気で進めようとしているのは「成果連動型補助金」への転換。
つまり、「失敗しても支援」ではなく、「一定の成果が出た企業に次の支援を出す」という仕組みに変わっていくということ。
従来型
成果連動型（今後）
事前に予算を配分
成果に応じて支援を継続
書類・実績中心の審査
成果指標（売上・技術特許・雇用）で評価
失敗しても継続支援
成果が出なければ打ち切り
つまり、ISTも「成果を出せば支援が続く」「出せなければ縮小される」という“シンプルなルール”になるだけの話なのです。
宇宙産業への国の支援は、むしろ拡大傾向にあります。
政府は2025年度予算で宇宙産業育成に約6000億円を計上し、そのうち一部を中小ベンチャーにも回す方針を公表しています（出典：内閣府 宇宙政策資料）。
6. ISTへの期待と課題──「民間で宇宙へ」は夢物語ではない
批判の一方で、「ISTの挑戦を応援したい」という声も根強いです。
ISTが大樹町に拠点を置くことで、地元の雇用や観光も生まれています。
町内のホテル稼働率は打ち上げシーズンに約1.8倍に上昇。
また、関連企業・学生のインターンシップ受け入れも増加しています（参考：北海道新聞）。
一方で、技術的な壁もあります。
「燃焼試験の安定性」「機体の軽量化」「商業打ち上げまでのコスト削減」など、解決すべき課題はまだ多い。
それでも、ISTの開発チームは「民間で宇宙へ」を合言葉に前進を続けています。
その姿勢こそが、日本の宇宙ベンチャーの象徴ともいえるのです。
7. まとめ：「打ち切り」ではなく「見直し中」──誤情報に流されないために
ここまでのポイントを整理すると、こうなります👇
テーマ
現状（2025年11月時点）
補助金の有無
ISTへの支援は継続中（打ち切り決定はなし）
政府の方針
成果連動型・効率重視へ移行
SNSの情報
一部に誤解・誇張が含まれる
今後の見通し
成果・還元度によって支援額が変動する見込み
つまり、「ISTの補助金が即打ち切り！」という情報は誤報。
本当のところは、「支援の中身を見直して、成果に応じて判断する」という段階です。
私たちが注目すべきなのは、“誰かの噂”ではなく、“実際の政策と成果”です。
そして、こうした情報を正確に追いかける姿勢こそが、フェイクニュースに惑わされないための最初の一歩になります。
📚 引用・参考情報
[2] 「#ホリエモンロケット」 – Yahoo!リアルタイム検索
[3] 補助金見直しの背景 – note
[5] TikTokでの拡散動画例
[6] 第467話 財務省のムダ削減転換で標的？ – note
[8] 北海道新聞：南相馬宇宙産業特集
🌍 最後に
ホリエモンが関わるISTのロケット開発は、まだ発展途上です。
けれども、その挑戦は「日本の民間宇宙産業の未来」を象徴しています。
「打ち切りかどうか」ではなく、
「どんな成果を出し、どんな夢を実現していくのか」。
その視点でニュースを見れば、見える景色が少し変わるかもしれませんね🚀✨
