映画「ディア・ファミリー」は、ある日本人の家族が絶望の中で見出した希望の物語。
医学の知識を持たない一人の父親が、愛する娘のために挑戦し続けた結果、世界中で17万人もの命を救うことになった実話が描かれています。
この映画の主人公のモデルとなったのは、東海メディカルプロダクツ会長・筒井宣政氏。
彼は、娘が心臓疾患と診断されたことをきっかけに、人工心臓の開発に挑戦し、その後IABP（大動脈内バルーンパンピング）バルーンカテーテルを開発しました。
自身の娘の命を救うことは叶いませんでしたが、その発明は世界中の多くの命を救う大発明となりました。
主演を務めるのは、大泉洋さん。彼が演じる坪井宣政は、医学の世界とは無縁の町工場の経営者。
それでも「娘を救いたい」という一心で、不可能とも思える挑戦に立ち向かっていきます。
この物語は、単なる医療の成功談ではなく、家族の絆、親の愛、諦めない心が奇跡を生んだ感動作となっています。
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■ 絶望から始まった家族の挑戦
すべての始まりは、主人公・坪井宣政（大泉洋）の娘・佳美が心臓疾患を宣告された瞬間でした。
医師からは、「この病気に治療法はない」「余命10年」と告げられます。
その時点で、世界のどの医療機関を探しても助ける手段はありませんでした。
しかし、宣政はその現実を受け入れることができませんでした。
「お父さんが必ず治してあげる」
医学の知識がないにも関わらず、彼はそう誓い、自ら人工心臓の開発を目指すことになります。
普通なら、絶対に無謀だと思うような挑戦。
けれど、この映画は「家族の愛がどれほどの奇跡を生むのか」をリアルに描いています。
実話だからこそ、その言葉の重みが伝わるのです。
■ 素人が医療機器を開発？不可能への挑戦
医療の専門知識もなければ、資金もない。
それでも、宣政は娘を救うためにあらゆる方法を模索しました。
?? バルーンカテーテルとは？
心臓の機能が弱まった際に、血流を補助するための医療機器。
現在では世界中で使われ、多くの命を救う重要な医療機器となっています。
当時、アメリカ製のバルーンカテーテルは日本人の体には合わず、合併症を引き起こすことも。
宣政は「もっと患者に負担の少ないカテーテルが作れないか？」と考え、試行錯誤を重ねます。
家族の支えも大きな力になりました。
妻・陽子（菅野美穂）は、「次は何をするの？」と問いかけながら、夫を励まし続けます。
医学の世界からは「素人が医療機器を作るなんて無理だ」と否定的な意見もありましたが、彼の情熱は揺るぎませんでした。
しかし、開発の途中で人工心臓移植を受けた患者が170日後に亡くなるという衝撃的なニュースが入り、協力者たちの態度も変わってしまいます。
資金も尽き、研究も暗礁に乗り上げる中、宣政は次第に追い詰められていきます。
■ 愛する娘を救えなかった悲劇、そして生まれた奇跡
どれだけ努力しても、時間は待ってくれませんでした。
ついに、娘・佳美の体調が悪化し、最期の時が近づいてしまいます。
その時、彼女は父にこう告げます。
「これからは、その知識を苦しんでいる人たちのために使って。私の命はもういいの。」
愛する娘を救うことはできなかった。
しかし、この言葉が宣政の新たな使命を生み出しました。
「娘だけでなく、同じ病気で苦しむ人々を助けたい」
その決意が、世界を変えるバルーンカテーテルの開発につながったのです。
宣政は、日本人の体に合うように改良したバルーンカテーテルを完成させます。
従来のものよりも柔らかく、破れにくい設計。
こうして、彼が開発したカテーテルは日本国内で使用されるようになり、やがて世界中に広がっていきました。
■ 17万人の命を救った父の決意
最終的に、宣政の発明は世界中で17万人以上の命を救うことになります。
しかし、彼自身は「娘を救えなかった」と、その功績を誇ることはありませんでした。
彼の言葉は映画の中でも強く心に残ります。
「誰かに感謝したいなら、佳美に感謝してほしい。」
医学的な発明というと、偉大な研究者が生み出すものと思われがちですが、この映画は違います。
一人の父親が、愛する娘のために諦めなかった結果、世界を変えたのです。
映画のラストでは、今もなお「完全な人工心臓」は開発されていないことが示されます。
つまり、宣政の挑戦はまだ終わっていない。
彼が始めた夢は、未来の医療の発展へと続いているのです。
■ 映画「ディア・ファミリー」が伝えるもの
この映画は、医学の発展だけでなく、「家族の愛」「諦めない心」「苦しみを乗り越える力」を描いています。
観終わった後、きっとこう思うはずです。
「どんなに不可能に思えることでも、愛があれば挑戦できる」
医学の世界に興味がある人も、そうでない人も。
ぜひこの感動作を劇場で体験してみてください。
家族の愛が生んだ奇跡の物語、「ディア・ファミリー」。
きっと、あなたの心に深く響く映画になるはずです。
まとめ
映画「ディア・ファミリー」は、家族の愛と奇跡の力を描いた感動の実話に基づく映画です。医学の知識を持たない父親が、愛する娘を救うために挑み続け、結果として世界で17万人の命を救う大発明を生んだ物語。
家族の絆、諦めない心、そして希望が、見る人の心に深く響く作品となっています。
このバルーンカテーテル誕生秘話を元に
・CBCテレビ開局50周年記念スペシャルドラマ『命の奇跡』[2]
・テレビ愛知のドキュメンタリー『町工場から生まれた命のカテーテル 不可能への挑戦と家族愛』
・テレビ東京「ルビコンの決断 」 が制作されている。
こちらも是非ご覧ください。
