1993年7月から9月までフジテレビ系列で放送されたドラマ『悪魔のKISS』は、放送から30年以上が経った今でもファンの間で語り継がれる伝説のドラマです。水曜21時枠で放送され、衝撃的な内容と常盤貴子さんの体当たりの演技で大きな話題となりました。
しかし、このドラマは再放送や配信が一切行われない「幻の作品」となっています。その理由には、過激すぎる表現と主演女優のイメージ保護、そして現代の放送基準にそぐわない内容が深く関係しています。
1. 常盤貴子さんの過激な出演シーンと事務所の封印対応
再放送が実現しない最大の理由は、常盤貴子さんの過激なシーンです。ドラマ放送当時、常盤さんは21歳の新人女優で、この作品で一躍注目を集めましたが、その大胆な演技が問題視されることに。
露出シーンが再放送の障壁に
『悪魔のKISS』では、常盤貴子さんが借金に苦しむ女子大生が風俗店で働く役を演じています。この中で、胸部が露出するシーンが含まれており、当時でもかなり衝撃的な描写でした。
特に話題となったのは、寺脇康文さん演じる加藤明夫が客として現れる場面です。このシーンでは、タオルを外されて胸部が露出するというセンセーショナルな映像が流れました。現在では地上波で放送できない内容であり、再放送が難しい要因となっています。
事務所が版権を買い取り封印
常盤貴子さんが女優としてブレイクした後、所属事務所であるスターダストプロモーションは、彼女のイメージを守るために『悪魔のKISS』の版権をすべて買い取ったとされています。
これにより、ドラマは事実上封印状態に。「黒歴史」として扱われることになり、再放送や配信は難しくなったのです。
寺脇康文さんは後にインタビューで、
「常盤さんが下着姿で撮影に来るとは聞いていたけど、まさかノーブラで来るとは思わなかった」
と振り返り、撮影時にはなるべく胸部が映らないようにカメラワークで配慮したと語っています。
2. 過激すぎる内容と現代基準の壁
『悪魔のKISS』が再放送されないもう一つの理由は、ドラマ自体が過激すぎることです。1990年代はテレビドラマの表現が比較的自由でしたが、現在では放送倫理やコンプライアンスの観点から、放送が難しい内容が含まれています。
社会問題を直球で描いた衝撃的なテーマ
このドラマでは、以下のようなセンシティブなテーマが取り上げられています。
- 違法薬物の使用シーン(覚醒剤など)
- 新興宗教への勧誘活動と洗脳描写
- カード借金と風俗業での労働
- 脅迫・恐喝や暴力シーン
- 中絶、自殺、殺人といった重いテーマ
これらは当時でもセンセーショナルでしたが、現代では放送コードに引っかかる可能性が高いため、再放送は極めて難しいのが現状です。
放送基準の変化と倫理意識の高まり
1990年代は深夜枠ではなくゴールデンタイムで過激な内容が放送されることも珍しくなかった時代です。しかし、現在は表現規制が厳格化。
特に『悪魔のKISS』は水曜21時というファミリー層が視聴する時間帯に放送されていたため、現代の基準では到底再放送は不可能だと考えられます。
3. 当時の視聴率と作品評価
意外なことに、『悪魔のKISS』は放送当時は高視聴率を記録しています。過激な内容が話題となり、回を追うごとに視聴率が上昇していきました。
視聴率の推移
放送回 | 視聴率 |
---|---|
第1話 | 11.2% |
第5話 | 13.9% |
最終回 | 16.9% |
平均視聴率は14.1%と好調で、最終回では16.9%を記録。常盤貴子さんはこの作品で「新世代の女優」として注目を集めることになりました。
作品の魅力と伝説性
『悪魔のKISS』のキャッチコピーは、
「悪魔のような誘惑がはたちの夢を狂わせる」
というもの。都会で夢を追いかける若者たちが、欲望と闇にのみ込まれていく姿がリアルに描かれました。
静岡から上京した3人の女性が堕ちていくストーリーは衝撃的で、今なおファンの間で語り継がれる伝説の作品となっています。
4. 現在の視聴方法はTSUTAYA DISCASのみ
『悪魔のKISS』は現在、主要な動画配信サービスでは視聴不可となっています。
配信・販売状況
- U-NEXT、DMMTV、Hulu、Disney+、Netflixなどでは配信されていません
- DVDやBlu-ray化も見送られておりソフト販売はなし
- 唯一の視聴手段はTSUTAYA DISCASでのDVDレンタルのみ
まとめ:封印された伝説のドラマ
『悪魔のKISS』が再放送されない理由は、
- 常盤貴子さんの過激な露出シーンと事務所の封印
- 現代基準では放送できない過激すぎる内容
この2つが大きな要因です。
しかし、この封印された事実が逆に作品の伝説性を高めているとも言えます。現在でもファンの間では語り継がれ、「もう一度見たい!」という声が後を絶ちません。
再放送は難しいかもしれませんが、TSUTAYA DISCASでレンタルして当時の衝撃を再体験してみてはいかがでしょうか?